10センチ彼氏

「どうしようもないくらいに、あなたが好きなんです」

あまりのもキザなセリフに、わたしはどうすればいいのかわからない。

「お願いします!」

大森くんが言った。

えっ、何をですか!?

「私とおつきあいをしてください!」

大森くんが頭を下げたかと思ったら、握手を求めるようにわたしの前に手を差し出した。

えっ!?

「あの、その…ごめんなさい!」

わたしは思いっきり頭を下げた。

何事かと思って顔をあげた大森くんと同時に、わたしはガバッと顔をあげた。

「わたし、男がダメって言うか…とにかく、すみません!」

そこまで言って、わたしはまた頭を下げた。

何を言っているんですか、わたしは…。

言ってることがめちゃくちゃ過ぎて、大森くんも引いているのがわかった。