今日も君博さんに見送られて、わたしは家を出た。

学校に到着して、下駄箱で靴を履き替えていた時だった。

「あの」

誰かに声をかけられたので顔をあげると、大森くんだった。

「えっと、何でしょうか?」

そう聞いたわたしに、
「昼休み、お時間を頂けますか?」

紳士的な口調で大森くんが言った。

「ええ、別にいいですけど」

何故だか知らないけれど、わたしも敬語を使ってしまった。

一応、同級生なんですけどね。

同級生2人が敬語を使って話をするのって、何だか変な感じだ。

「じゃあ、屋上で待ってます」

大森くんは微笑むと、わたしの前から立ち去った。

何の用かしら?

そう思いながら、わたしは教室へと足を向かわせた。