「行ってきまーす♪」

「気をつけて行っておいで♪」

テーブルのうえで手を振っている君博さんに手を振り返しながら、わたしは家を出た。


「最近楽しそうだね、小雪」

学校についたとたん、親友のカヤからそんなことを言われた。

「何が?」

そう聞き返したわたしに、
「生き生きしてるって言うか、何て言うか…彼氏できたの?」

カヤは言った。

ドキッと、わたしの心臓が震えた。

見かけに寄らずに鋭いとこをついてくるな…。

「彼氏なんかできてないし!

と言うか、男なんてもうコリゴリ!」

わたしは言い返した。

「まあ、いいや。

できたら教えてね♪」

いやいや、それは無理ですから。

まさか小さい彼氏がいるなんて、どうやって説明すればいいのだろうか?

カヤには悪いけど、当分は隠し事をするしか他がないと思った。