10センチ彼氏

「だよなー、長続きする訳ねーよなー」

「まあ、あっちは真剣だったらしいけどな」

彼らの会話に、
「――えっ…?」

わたしは泣きそうになった。

わたしが告白した時、「好き」って言ってくれたじゃない…。

「まあ、俺からして見ればそれもお遊びってことで」

破片のようなものが、胸に刺さったような気がした。

バカにしたように笑っている彼らの声が痛い…。

隠れて聞いていたわたしに気づいていないと言うように、彼らは笑いながら通り過ぎた。

わたしはその場から動くことができなくて、固まっていた。

「小雪ちゃん?」

最低だ…。

その一言を彼らに向かって言えたら、どんなに楽になるのだろうか。

「小雪ちゃん?」

君博さんが驚いたのも、無理はなかった。

わたしは泣いていたからだ。