10センチ彼氏

「な、何!?」

慌てたように聞き返した君博さんだけど、わたしが1番慌てている。

な、何って…。

「ここで脱ぐんですか!?」

そう聞き返したわたしに、君博さんは首を縦に振ってうなずいた。

ちょっと待って…。

ここで脱いだら、
「ダメです!」

わたしはまた叫んだ。

今日だけで、何回叫んでるのよ…。

喉が痛い…。

「じゃ…じゃあ、後ろ向いてて?」

う、後ろ?

君博さんの言う通り、わたしは後ろを向いた。

な、何ですか?

しばらくすると、パシャッと水の音が聞こえた。

えっ?

思わず振り返ると、マグカップの中に君博さんがいた。

その光景は、ゲゲゲの鬼太郎の目玉のおやじみたいである。