10センチ彼氏

「君博さん、死にますよ!?」

そう叫んだわたしに、
「死なないと思うよ」

君博さんが言い返した。

「マグカップを使えばいいじゃない」

マグカップを使えばいいって、何でですか?

君博さんの言っている意味がよくわからない。

「マグカップにお風呂のお湯を入れて…」

君博さんが説明しようとした瞬間、わたしは理解した。

ああ、わかった!

わたしはマグカップを取りにキッチンへ行った後、バスルームへと足を向かわせた。

バスタブにはすでにお湯が入っていた。

マグカップにお湯を入れると、リビングに持って行った。

「お風呂を持ってきましたー♪」

テーブルの隅っこでちょこんと座っている君博さんの前に、マグカップを置いた。

「ありがとう」

君博さんはそう言って服を脱ごうとした。

って、
「ちょっと待ったー!」

わたしは思わず叫んでいた。