「あぁぁ~ダリ~」

大きく背伸びしながら
畳の上へ仰け反った

「燈夜様
 次期当主の貴方が
 そのようなお言葉

 ――私は貴方の教育を
間違ってしまったのでしょうか

 なんと嘆かわしいお姿
 民のものが見たらどう思うか
 私は悲しくて涙が止まりません」

口ではそんなことを言いながらも
顔色一つ変えずに燈夜の前に
本を積み上げて行く

「はいはい
 どの口が言ってるのか」

「では文句を言わずに
 手を動かし下さい」

「なぁ・・・
 藤(ふじ)
 お前俺に使えてどの位経つ」

なぜいきなりそんな事を
言い出すのかと藤は眉をひそめた

「そうですね
 貴方が5歳の時
 ですから
 かれこれ10年
 お使えしております」

「そうか・・」

そう言うと湖へと目を移した