辺りは暗くなり始め、俺は"そろそろ帰りますか。"と緋乃に言うと、鞄を担ぎ歩き出した。 「大輔!」 急に緋乃に腕を掴まれ、驚いた俺は彼女を振り返る。 緋乃は瞳を揺らしながら、 「ありがとう…傍に居てくれて。」 と、俺を見つめると優しく微笑んだ。 月明かりが彼女の顔を照らし出す。 息をのむ程綺麗で…俺の鼓動は早くなり… 「…大輔?」 俺は思わず緋乃を抱きしめていた。