いつか先生に見放されてしまうという恐怖が、焦りとなって少しずつ押し寄せる。


言わなくちゃ……。

ちゃんと伝えなくちゃ。

先生が差し伸べてくれた手を掴みたい。


黙り込んで俯く私に、先生は温かい大きな手をそっと私の頭にのせた。


「無理して言う事はない。松浦が話したくなったらで良いんだ」


優しく先生はそう言うと、頭をそっと撫でた。

先生の優しさが一気に胸一杯に溢れ出し、私の手の上には涙が、ポタリポタリと落ちていく。


「先生……私ね……」


「うん……」


私は、先生の手の温もりを感じながら、俯いたまま話した。