ずっと心の奥に閉まっていた事だった。
核心を突かれた私は、どんな顔をしていたんだろう……。
言葉が出ない私に、浅利先生は口を開いた。
「やっぱりか……。初めて松浦を見た時、大人の目をしている子だと思ったよ。何かを諦めてるような……」
私は俯いたまま先生の話を聞く。
「すぐに謝るし、友達を作ろうともしない。まだ中学生だ。友達と遊んだり、たまにはハメを外してみたり、もっと自由になって良いんだよ。ワガママだって良いんだ。お前達は、そんな事をまだ気にするような歳じゃない」
見透かされてるようだった。
浅利先生の言っている事は痛いほどわかる。
でも……
そう簡単に変われる程、長年蓄積されてきたものは軽くはなくて……
"ワガママになる"
そんな事すらわからなくなっている私は、重症だと思った。



![月の雫[七福神大戦録]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/201437-thumb.jpg?t=20250409131947)