恋愛スキル



首を絞められた時、“怖い"という気持ちもあったけれど、それよりも“何で?"という気持ちが強かった。

準ちゃんに、一体何があったんだろう……。



考えても答えが出ない問題が、頭をグルグル回っていた。


そんな私に気付いたように、浅利先生は隣りの椅子に静かに座ると、真剣な目で私を見つめる。


「ずっと……松浦に聞いておきたい事があったんだけど……いいか?」


「え?……あ、はい」

そう答えた私の顔は、多分強張っていたと思う。


準ちゃんの事でいっぱいだった私は、今更、浅利先生と二人きりだという事を意識し始めていて……

私の鼓動は早くなっていた。


聞きたい事?

何の事だろう?


……もしかして……

私が先生を好きだって事、バレちゃったのかな!?


「松浦さぁ……」


ドクン……

ドクン……

ドクン……


「……家庭で何かあった?」


「え……?」


私は、一瞬時が止まった気がした。


だけど、浅利先生は変わらず真っ直ぐな目を私に向けている。

その瞳に耐えられなくなった私は、視線を逸らした。