恋愛スキル


*°・.


あれ……ここは……?


私が目を開けると、学校の天井が見えた。


「気が付いたか?」


浅利先生は私を覗くと、安堵の息をついた。

「すみません……ご迷惑おかけして……」

上体を起こし、ふと隣に目をやると、椅子が置いてあって……ずっとそばに居てくれたんだと知った。


先生は「何か飲むか?」と冷蔵庫を覗くと、笑って見せ、

「ホットでも良いな?」

と振り返る。

私が、「はい」と頷いたのを確認すると、浅利先生は水を沸かし始めた。




さっきの出来事が嫌でも脳裏に焼き付く。


あの準ちゃんの目が。

準ちゃんの手にこもった力が……私が忘れようとする事を、まるで拒んでいるようだった。