恋愛スキル



急に身体が楽になり、苦しみから解放され激しく咽せ込む私の目には、準ちゃんの胸ぐらを掴む先生がうっすらと映った。


「お前、聖中の生徒だな。退学になりたくないなら、今すぐここから立ち去れ。それと二度と松浦にかまうな。いいな?」


準ちゃんは、慌てふためいて校門を出て行く。


先生は震える私に近づくと、しゃがんで私の顔を覗き込んだ。


「松浦……」


「先生……ごめんなさい……私……」


先生は、私の目を真っ直ぐ見つめると……



私を強く抱き締めた。

「え……あ……先生……!?」



「松浦は……俺の心臓止める気か……」


震えが止まらない私を、浅利先生の腕が更に強くしっかりと抱きしめる。


「本当に……無事で良かった……」


温かい浅利先生のぬくもり。

浅利先生の香り。



先生……ヤバい……

私酸欠……


「松浦……おい!松浦!?しっかりしろ!」


意識が遠のく私。

名前を呼ぶ、浅利先生の声だけが響いて聞こえた……。