「そう言う問題じゃないだろ?手。俺が酷くないと言ったのは、放課後ちゃんとした処置をして貰ったらの話だ」
何で……そんな真剣な目をするの先生?
どうして、そんなに心配してくれるの?
私が先生の生徒だから?
そうだとしたら……
そんな中途半端な優しさ……私はいらない。
自分は特別なのだと、期待しちゃいそうな気持ちを、一生懸命さとす自分がいる。
「良いんです!先生こそ気にしすぎですよ。傷だって痛くないし、私の意志で残ってるんですから!もうあっちへ行ってください!集中出来ません!」
浅利先生は、真っ直ぐ私の目を見つめると、私の両手をそっと解放した。
「明日はしっかり診て貰えよ」
浅利先生は、他の子達も見てまわると、準備室に入る。
クラスを受け持つ浅利先生は忙しく、部活の様子も見ながら、準備室ではデスクに向かう仕事をしたりしている。
部活動が終わっても、浅利先生はまだ帰らない。
今日もきっと帰らないんだろうな……。
終わりの挨拶をしてみんな出て行く中、浅利先生は私に目を合わす事なく、準備室に戻って行った。
私……避けられてる?



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