気がつくと、外は暗り始めて、もう太陽の光でモチーフを描く事が出来なくなっていた。 私は、身支度を済ませ学校を出る。 ほんのり夜の匂いがして、少し冷たい風が、びっこに歩く私を追い越していった。 「痛……」 足首が痛む度に、あの瞬間を思い返した。 初めて会ったあの人を、何故だか無性に気になっている私がいる。 もう一度会いたい。 もう一度声が聞きたい。 ほんの数分の出来事だったのに、彼の匂い、背中をはっきりと覚えている。 また……会えないかなぁ。 「緋乃!」