「もう、やめとけよ!あんな奴……!

俺さ、あれからずっと、幼馴染みもすてたもんじゃないって、思い始めてたんだ。
いつも隣でバカやって、緋乃を一番に助けられるなら、この関係もイイもんだって、俺にしか出来ない役だって、納得してたんだよ!

それで緋乃がアイツと幸せになれるならって。

でも違った。アイツは裏切ったんだ!俺と緋乃の事も!」


「大……輔……」


「俺なら絶対緋乃を守れる!絶対にそんな辛い思いはさせない!緋乃がアイツを忘れたいと言うなら、全力で忘れさせてやる!だから……」


少し身体を離すと、緋乃の真っ赤になった瞳が、俺をゆっくりととらえた。


「緋乃はどうしたい?」




暫くの時間が流れた。
緋乃はずっと俺を見つめていたが、大きな涙のすじが頬に流れると、瞳を瞑ってそっと開かせた。




「私……忘れられるかな……?」




俺は頷くと、彼女の頬を優しく両手で包みこんだ。


緊張とかそんなもんはまるでなくて、ただただ緋乃の目を覚ましたい一心で。
たかぶる気持ちのままに、唇を重ね合わせた。


――――これからは、俺が守っていく。


そう誓いを込めて――――。