「長澤。俺の話を聞いてくれ。」


「話?春瀬と付き合ってる事を緋乃には黙ってろって話っすか?」


「落ち着け。長澤は誤解しているだけだ。淘子がああ言ったのには、理由がある。俺は――」


「誤解?キスをしていたのは事実っすよ。

あの日……先生に緋乃の事を話に行った日……アイツの事をどう思うか聞きましたよね?

で、先生は可愛いい生徒の一人だと答えた。でも、その時のあんたの表情で、俺は確信したんだ。本当は、先生も緋乃の事が好きなんじゃないかって……。

だから俺はあんたに言った。

緋乃は先生が好きだ。もしその気がないなら、諦めさせて欲しいし、もし、先生も特別に思うなら、彼女を傷つけるような事は絶対にしないで欲しいって。

それなのに……

こんな仕打ちってありかよ?」


「……長澤」


俺は浅利を睨みつけると、そのまま校門へと走りだす。


アイツもやっぱり汚い大人だ。