首に巻き付く淘子の腕を掴むと、彼女の腕には更に力がこもった。


「嫌!そんな身体で行かせる訳にはいかないわ!」


「薬なら少しずつ効いてきた……。これは俺の意志だ……彼女のそばに居てやりたい」


「……そんなに彼女が大事なの!?たかが14の子供じゃない!?

郁斗がどんなに尽くしても、彼女からは何も返す事が出来ないのよ!
男の欲求不満だって……」

「黙れ。それ以上言ったら……俺は淘子を許さない」



無理やり身体を引き離すと……


彼女は涙を溜めた大きな瞳で、目の前の俺をジッと見つめる。


「何で……わかってくれないの?」




不意打ちだった―――


淘子の顔が近づいたと思った瞬間。



唇に淘子の唇が重なり合った―――。





たった数秒の事だった―――



だけど、その数秒の出来事を―――



見られていたなんて―――




俺は思ってもみなかったんだ――――。