急に浅利先生が私を見たので、私はビックリした。
「え…?」
そんな私の顔を見て先生は笑いながら言った。
「いないよ。わざわざ来たのは、それが聞きたかったからなのか?」
先生のその言葉で、私は無意識に口に出していた事に気付き、とっさに口を押さえた。
先生の笑っている優しい瞳には、確かに私が映る。
“いないよ”
その言葉が私の胸を一層熱くさせた。
『彼女ナシ』
たったそれだけの事なのに、私は凄く嬉しくて、にやけてしまいそうになるのを必死で隠した。
「変なヤツ」
浅利先生はそう言うと、またニッと笑った。



![月の雫[七福神大戦録]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/201437-thumb.jpg?t=20250409131947)