「浅利先生…」
先生はこっちを振り向き、少し驚いた顔をすると、優しく微笑んでくれた。
「おう!来ると思ってたよ」
やっぱり…
浅利先生は私をずっと待っていてくれたんだ…
「先生…本当にすみません!私が行きたいって言ったのに、すっぽかしちゃって…。
待ってて貰えるなんて…正直思ってなくて…」
先生はジッと私の顔を見ると、煙草の火を消し、携帯灰皿に収めた。
「でもちゃんと来ただろ?松浦の事だから、きっとやもえない事情があっての事だと思っていたよ。
…だけど、万が一松浦が来た時に、俺がいなかったとしたら、俺はいなかった俺を悔やむと思うから。
だから居ただけ」
先生はニッと笑うと、手招きをして隣のスペースをペチペチと叩いた。
私が申し訳なさそうにちょこんと座ると、先生は微笑んで、また遠い目で夜空を見上げた。