「由依子はこれ!」


「え~、絶対ピンクだよぉ」


「いや、黒!」


「ピンクー!」


放課後2人と水着を買うことになった。


早紀ちゃんはピンクのフリフリの水着を私に見立ててくれて、



涼子ちゃんはシンプルな黒の水着を見立ててくれた。



でも2人が選んでくれた水着は正反対で、睨み合っていた。


「由依子はどっち!?」


「由依子ちゃんはピンクだよねぇ?」


「え~と・・・」


すごい剣幕に私を見つめるからどっちかを選ぶのは悪い気がするような・・・。
どっちも選べないよぉ・・・。


「あッ、ちょっと向こうの水着見てくるね!」


とにかくその場から逃げたくて、違うコーナーへ行った。


そんなふうに見立ててくれるのは嬉しいんだけど・・・


そんな2人の空間に馴染めなくて。。



目の前に並んでいる水着をぼうっと眺めていたら私の名前を呼ぶ声がした。


ポンと肩を叩かれ、そっちに向くと・・・



「よぉ、偶然だなぁ。只見」


微笑んで、私を見下すような目


この前から今もずっとみたくなかった顔。


知らないフリして違うところへ移動する。


「逃げんの?」




「・・・・」


ピタと止まる足。


コイツに背は向けたままだけど、コイツがニヤリと笑ったのがわかった。



「何」


「こっち向け。
話すときは目をみて話せよ」


ムカッてきたけど、コイツが言う通りだった。


あからさまに嫌な顔をして振り返った。



「只見さぁ、俺んこと避けてるだろ」


コイツの真剣で厳しい瞳に見つめられて、何故か私の顔は熱くなってて。


「・・別に」


その瞳から逃げた。