神威異伝





聞き憶えのある声の指示に従い、理緒はとっさにしゃがむ。


すると、先程まで理緒の頭があった所を何かが飛んでいった。



「…………。」



嘉禄に向かって飛んで来た何か…木刀を、嘉禄は驚く様子すら見せず首を少し横に傾けて避ける。




「理緒、大丈夫か!!?」


声を張りつつ、理緒の前に駆けて来たのは―…



「十夜…」
「よっ、遅れて悪かったな」



理緒が名前を呼ぶと、十夜は振り返り少し笑った。




「お前…まさか……」



明らかに驚きを含んだ声を、嘉禄が溢した。


十夜はそんな嘉禄の様子も気にせず、腰布に差していた刀…漆梁を鞘から抜いた。



白い鞘から現れたのは…黒い刀身。




それを構える十夜の顔は、いつもとは違う…真剣な表情だった。