「おや?何かしましたか?」
口元に微笑を携え、嘉禄が理緒に一歩ずつ近づいていく。
理緒は舌打ちを漏らしつつ、後ろに下がりながら短刀を二、三本投げつける。
「何回やっても同じですよ」
だが、その短刀もあっけなく手で弾かれる。
少しでも距離をおこうと、短刀を投げようとしたが、もう…理緒の手元に短刀は残っていなかった。
“影”と呼ばれる旅人達を倒すのに、何本も使ってたのも原因である。
「そんな…っ」
動揺して思わず理緒が言葉を溢すと、嘉禄が口を開いた。
「もう底が尽きたのかな?それなら―…」
理緒との距離を数歩程に縮め、嘉禄が手をのばしかけた時…
「伏せろ!理緒っ!」
嘉禄でも、日向でもない…声が響いた。


