予想外の男の許可に、斎雲が口を開いた。
「しかし―…」
「私が良いと言ったんだ、斎雲」
有無も言わせない男の言葉に、斎雲は口を閉じた。
男が視線を理緒に向ける。
フードで隠れて見えない目に、理緒は微かに恐怖した。
「…では私が、あのお嬢さんの相手でもしよう」
男の言葉に一番驚いたのは、斎雲だった。
「わざわざ嘉禄(かろく)様が、相手などしなくとも私が…」
「君はまだ覚悟が甘い。そして、舞雲(まいうん)がやれば…」
嘉禄と呼ばれる男が側にいた、体型から見るに女であるもう一人の旅人…舞雲と呼んだ女の方を振り返った。
「惨殺しかねないから…な」
「よく分かってらっしゃるわぁ、嘉禄様」
そう言って舞雲は、嘉禄に抱きついた。


