一人の男が村長の所に行こうと走ろうとした時、旅人がその男めがけ短剣を振り下ろした。
男は転げながらそれを寸での所で避けたが、腕を短剣がかすめた。
「う…っ」
男が立ち上がる前に、旅人が再び短剣を振りかざした。
理緒が短刀を旅人の腕めがけ投げたが、今度は動きが止まらなかった。
「…っ!!」
一瞬、躊躇ったが…理緒は旅人の首に向かって短刀を投げ放った。
…どすん、と嫌な音が漏れた。
旅人は、糸が切れた操り人形の様に倒れた。
出入口付近に立つ四人の旅人の中で、一番背の高い旅人が口笛を吹いた。
「へぇ〜、あの女やるねぇ」
自分の仲間が倒されたにも関わらず、他人事の様な口調である。
目の前で旅人が倒れ、腕を負傷した男が目を見開き少し震えていた。


