神威異伝






―…目の前に散乱する落ち葉に、十夜はため息を溢した。




理緒に何故か蹴られ、何故か逃げられた後…ちゃんと家に戻り、十夜は庭掃除をやっている訳なのだが…



「……終わんのかよ、これ…」



庭に広がる落ち葉を、箒で掃き、袋に詰め込んでも…終わる気がしないのだ。


いくら掃き、詰め込んでも落ち葉は一方に無くならない。




「ぁ゛ー…っ」
「どうした、十夜。手が止まっておるぞ」




十夜が2回目のため息を溢すと、縁側に座っている賢雄が注意してきた。



賢雄が茶をすする。



「ほれ、手を動かさんと終わるもんも終わらんぞ」
「こんなの俺一人だけじゃ終わんねーって、大爺」



手伝ってくれと言わんばかりに弱音を吐く十夜を、賢雄は笑いとばした。