「……っ!!」
理緒は思わず、足を止めた。
頬が熱く、心臓の鼓動がいつもにまして早い。
それに気づかない十夜は、のんびりと足を進める。
その十夜の背をめがけて走った理緒は…
鈍い音が響き渡るほど豪快に、十夜の背を蹴り飛ばした。
「ぃでえぇっ!!?」
突然の背後からの攻撃に受け身も何も出来なかった十夜は、悲痛な声を上げ数歩よろめいた。
「り、理緒…っ」
「うるさい!!」
理緒はそう叫ぶと、来た道を戻り始めた。
十夜が痛む背中を押さえながら、理緒を呼び止めようとする。
「どこに行くんだ理緒?家はこっち…」
「あたしは夕飯の材料買いに行くの!!あんたは家に帰って庭掃除しなさいっ」
そう言い残し、理緒は赤くなった頬を見られないように来た道を戻って行った。


