『あの子には自らの意思で“黒狼”になる為の鍛練はさせているが、まだ習得出来ていない…』
澪の言葉に理緒は黙り込んだ。
しかし十夜は……
「大丈夫だって、心配すんなよ」
「ちょっ、ちょっと十夜!あんた軽く考えすぎじゃないの!?」
お気楽過ぎる十夜の発言に、理緒は思わず口を開いた。
すると、十夜は笑顔で言った。
「一緒に旅するって事はな、悲しいのとか淋しいのが半分になる。でもな、楽しいのとか嬉しいのは倍になっちまうんだ。俺らは暁を入れて四人だから…四倍だな!」
そんな十夜につられ、澪も笑った。
『……そうだな、その通りだ。余計な事を考えすぎたな』
「そういう事だ!まっ、心配すんなよ」
「なんていうか…あんたらしいわよ、十夜」
やれやれと言わんばかり溜め息を吐く理緒。
だが、口ではこう言っている理緒自身…先程の十夜の言葉に納得していた。
まだ数日しか旅をしていない理緒だったが、旅をしていて楽しいのだ。
それは、生まれて初めて村を出て…周りの景色や環境を楽しんでいるからという事もある。
──だが、十夜と日向…この二人と共にいるからこそ楽しいのだという事が理緒には分かっていた。
これから暁も加わり、四人旅になる。
果たさなければならない“目的”はあるが、それでもきっと賑やかで楽しい旅になるんだろうと理緒は心の中で笑っていた…。


