神威異伝




日向と理緒の二人が驚くのも無理はない。

暁が跳び越えたのは、ちゃぶ台の端から端……まぁ、頑張れば跳べない距離ではない。

しかし、暁は助走も何もせず座っていた体勢から跳び越えたのである。


『…この子も半分とはいえ黒狼の血が流れている。これくらいの距離、簡単に跳び越せる』
「あはは…それは頼りになるな」


あれぐらい出来て当然と言わんばかりに暁を見る澪に、日向は苦笑する。

その頃…やっとの事で暁を引き剥がし、暁の頬を引っ張りながら十夜が口を開いた。


「なぁ!!いい加減、朝飯食おうぜ。腹減ったよっ」
「ぃ、いふぁいひょぅ!!ひょうひゃにーひゃんっ!!(ぃ、痛いよぅ!!十夜にーちゃんっ!!)」


涙ぐみながらもジタバタと抵抗する暁。

しかし、十夜はそんなのお構い無しである。


「さっきのお返―……」
「大人げないわよ馬鹿十夜!!」
「いでーっ!!」


……結局、理緒の拳の餌食になる十夜であった。