神威異伝




十夜の発言を聞いた理緒が、眉をしかめた。


「十夜、あんたねぇ……っ」
『ほぅ成程。理緒が家族に黙って旅に出ようとしたのか』


墓穴を掘った理緒の反応に、澪はすかさず気づき口を開いた。

しまったと理緒が口を手で押さえるが、最早そんなの意味が無い。


「そーなんだよ澪。こいつさぁ、反対されんのが嫌だからって黙って着いてこようとしてたんだぜ」
「で、でもおじいちゃんから許してもらえたじゃない!!……一応」


笑いながら言う十夜に対し、理緒は苦しまぎれに言い訳をする。

理緒が可哀想に見えたのか、日向が口を開く。


「十夜、とりあえず暁も一緒に行く……って事で良いんだな?」
「ん?あぁ」


短くだがハッキリと十夜が応える。

すると、十夜の真っ正面に座っていた暁がちゃぶ台をひょいっと飛び越え十夜に抱きついた。


「ありがと!!十夜にーちゃんっ」
「だぁ、ひっつくな!!」


じゃれる様にひっついてくる暁を、十夜は引き剥がそうとする。

しかし中々離れない。

その光景を見ていた日向が、目を点にしたまま呟いた。


「今、暁この台を跳び越えた…よな?」
「……えぇ、確かに跳び越えてたわ」


理緒も目を点にしたまま応えた。