(そっか……俺、この人の膝で寝てるんだな)


十夜は、この声の持ち主の膝を借りている事を知った。

流石に、幼い頃の自分の記憶の中と言えど……恥ずかしいさが込み上げてくる十夜である。


そんな十夜の気持ちも知らず、女の手が十夜の頭を優しく撫でる。


『大丈夫ですから……安心して、眠って良いんですよ』


そう呟き、女は歌を歌いだした。

ゆっくりで、優しい響きの歌は……子守唄の様だった。


(あ……この歌、知ってる…?)


十夜は女が優しく歌うそれを聞きながら、そう思った。

……遠い昔に聞いた様な、そんな感覚。