(……また夢、か。コレも…俺の……記憶なんだろうな)


十夜は、ぼんやりとした意識の中でそれだけを理解した。

ただ、前日の夢とは違い…夢の中の自分の体は、今の自分の意思で動かせるらしい。


先程、目を開けれた事からそう思ったのだが……


(違ってたら……嫌だな)


十夜が試しに、視界に映る手を動かそうとすると…自分の意思に従い、手がピクリと動いた。

しかし、どうも眠いらしく十夜は体の一部を少し動かす事しか出来ない。



『…起きてしまいましたか?』


不意に、十夜の頭上から声が響く。

その声は、落ち着いた雰囲気を感じさせる女の声だった。