神威異伝





十夜は、日向の手を剥がし――……


「あ、おいっ!!十夜!!」


気がついたら走りだしていた。

自分が来た道を、全力で戻っている。



「知らなかったから…じゃ、すまされねぇよな」


十夜はそう呟き、木々の間を走り抜ける。


理緒の両親が、既に亡くなっている事は知っていた。

何ヵ月か賢雄の家に世話になっていた間、一回も両親の姿を見なかったし、両親の話も一度もしなかったから。



……いくら記憶を失った十夜でも、何か理由があるのだろうと思い、その事について何も聞かなかった。