目を覚ましたばかりで何処か弱々しい雰囲気だが少年は、はっきりと呟いた。
「お、れは…誰、ですか…?」
少年の言葉に、理緒と賢雄は目を見開いた。
理緒が声を張る。
「あんた崖から落ちてたのよ?それも覚えてないの!!?」
「…崖から…、落ちた…?」
そう呟いた少年は、骨折してない方の手で頭を押さえた。
「…う、つぅ……っ」
頭が痛むのか、微かに声が漏れている。
「ふむ…記憶喪失か、まぁ仕方ないじゃろうな」
そう言葉を溢し、賢雄がしゃがんこみ少年の肩に手を置く。
「あまり考えすぎるでないぞ。…無理する必要はないからな」
「……はい」


