神威異伝





「…………遅いっ!!」


白山が完全に夜の闇に包まれた頃に、あぐらをかき焚き火をじーっと見つめていた十夜が声を張った。

焚き火から少し離れた所に、座っている理緒が溜め息を吐く。


「あんた、さっきからそれしか言ってないわよ」
「しょうがねぇだろ!!?日向がまだ戻って来ねぇんだからよ」



そう……夕暮れ頃に、獲物を取って来ると言い残したまま、日向が戻って来ていないのだ。

流石に理緒も心配になったのか、ぽつりと呟く。


「……まぁ、確かに遅いとは思うけど」
「だーっ!!もう駄目だぁ、腹減って我慢出来ねぇ!!」


理緒の呟きを掻き消すように、十夜が叫び声を上げ立ち上がった。

驚いた理緒は、十夜に声をかけた。


「ちょっと、十夜!!?」