神威異伝





少年が目を覚ました時、側にいたのは理緒とその祖父、賢雄(けんゆう)の二人だった。



「……こ、こ…は……?」


少年が体を起こそうとしたが、それを賢雄は手で制した。


「まだ動く出ない、お主は一度死にかけた身。…無理すればその身に負担がかかろう」
「怪我人はおとなしくしてなよ」
「……はい…」



少年は賢雄と理緒の言う事を素直に聞き、再び身を横にした。


それを見て安心したのか、賢雄が立ち上がった。



「お主も目を覚ました事だ、今医者を……」
「あの…」



医者を呼びに行こうと、背を向けた賢雄を少年が呼び止めた。

賢雄が振り返る。



「どうかしたか?」
「…一つ、聞きたい事があるんです」