「大丈夫ですか?」
反射的に手を差し出していた。
「大丈夫です。すいません、焦っていたので、つい」
初対面の人に向けられたとは思えない程に明るく、そして少し照れくさそうな笑顔。少し幼さの残る顔立ちだが、薄く塗られた化粧から大人らしさも感じられた。線は細いが、スタイルがいいというより、若干弱弱しい感じを受けた。クラスのアイドルとはいかないが、密かに人気のある子、といった感じの子だった。
「気をつけて下さい。信号も、もうすぐ赤になりますし」
「本当にありがとうございました」