「たっくん、わたしは、しあわせだったよ。あなたがずっと、そばにいてくれたから、しあわせだったよ。わたしだけが、しあわせだったなんて、ずるいよね?ごめんね、たっくんを、しあわせにできなくて。これからは、たっくんが、しあわせになれるように、みまもっているから」
途切れ途切れの言葉は、口元に耳を持っていかないと聞き取れない程に、小さなものだった。伝えたい言葉が次から次へと頭の中を過ぎるのに、うまく口にすることが出来なかった。
「幸せだったよ、俺だって幸せだったよ!」
それでも必死に声を出した。そうすれば、春香の肩を叩こうとしている死神から、守れるのではないかと思った。
「逝くな、まだ逝くんじゃねぇよ!」
「たっくん、さいごにおねがい、わたしのことを、わすれないでね」
とても風の強い一日だった。気象庁の知らせによると、春一番が日本列島を吹き抜けたとのことだ。その風に乗って、春香は旅立った。春の訪れと共に。
途切れ途切れの言葉は、口元に耳を持っていかないと聞き取れない程に、小さなものだった。伝えたい言葉が次から次へと頭の中を過ぎるのに、うまく口にすることが出来なかった。
「幸せだったよ、俺だって幸せだったよ!」
それでも必死に声を出した。そうすれば、春香の肩を叩こうとしている死神から、守れるのではないかと思った。
「逝くな、まだ逝くんじゃねぇよ!」
「たっくん、さいごにおねがい、わたしのことを、わすれないでね」
とても風の強い一日だった。気象庁の知らせによると、春一番が日本列島を吹き抜けたとのことだ。その風に乗って、春香は旅立った。春の訪れと共に。


