「春香さんは何をお願いしてたんですか?」
賽銭箱にそれぞれ五円玉を投げいれ(莉那だけが二重に縁がある様にと、十円玉を二枚を投げいれたのだが)、思い思いの願いを神様に祈った。
「お願いじゃなくって、感謝してたの。優しいお父さんとお母さんに囲まれて、たっくんが傍にいてくれて、こうして莉那ちゃんとも出会えたことを」
誰もが一瞬言葉に詰まった、だがそんな雰囲気も一転してしまう莉那は流石だった。
「そっか、新たな一年の始まりに神様にお願いごとをするんじゃなくって、去年一年間や、今に対してお礼を言うのもありですね。っていうか、本来はその為に初詣ってあるのかもしれない」
普段はお調子者だが、たまに鋭い意見を口にし、周囲を驚かせる。
「で、お兄ちゃんは何をお願いしてたの?」
だが本人は何食わぬ顔のままだ。
「いいか莉那、お願っていうのは、人に喋ったら叶わなくなっちゃうの。それでも莉那がお願いしたことを答えたら、答えてやってもいいぞ」
じゃ答えられないよ、そう言って足元の小石を蹴り飛ばしていた。そんな兄弟のやり取りを見て、誰もが優しく頬を緩ませていた。