食事を終え、食器を洗い終わると、貴美は二本のビールを持ってソファーの横に座った。缶のまま乾杯すると、テレビを見ながらゆっくりとした時間を過ごした。そのまま一時間くらいたっただろうか、どこからともなく低く唸る様な音が聞こえてきた。それはテンポよく断続的に響き、そして急に鳴りやんだ。マナーモードにしていた携帯電話のバイブ音だと気づき、お互い携帯電話を探した。先に自分の携帯電話を確認した貴美は、私じゃないわ、そう言ってテーブルの上に戻した。ということは僕の携帯電話か、一体誰からの連絡だろう、確かバッグの中に入れて置いたはずだ、そう思い中を探った。程なくしてそれは見つかり、画面を開くと、受信メールの表示がでていた。迷惑メールか何かの類だろうと思い、その中身を一読すると、勢いよく画面を閉じた。パタン!という大きな音が部屋中に響いた。そんな行動を見た貴美は、何も言わずに抱きついてきた。
「テレビ消して」
そう呟く貴美に応え、テレビを消し、電気を消し、その場にしゃがみこんだ。