一ヵ月前と同じ様な返答をしていた。会員証だけ借りて行くわね、そう言うと、訪れた時と同様、ヒールがコンクリートを打つ音を響かせながら、階下へと降りて行った。流石に慣れたものだ。この界隈なら、コンビニにスーパー、レストランにビデオレンタル店まで熟知している。貴美が帰ってくる前にシャワーだけでも浴びておこう、そう思い重い体を持ち上げた。
少し熱めのシャワーを浴びると、幾分スッキリした。体を拭いていると、廊下からヒールの音が聞こえ、間もなくしてドアが開いた。
「シャワー浴びてたのね。着替えたら早速見ましょ」
タオルで頭を擦りながら、ビデオをセットし、全米第一を謳い文句にするアクション映画を二人肩を並べて見た。迫力だけに多大なる金額を費やしたその作品は、つまらないとは言わないが、見た後に何かが胸に残る訳でもなかった。まぁ二時間ちょっとの時間を、退屈することなく過ごせたからよしとしよう。