彼女の背中は程なくして見つかった。ツタヤから少し進んだ、西武A館とB館の間の交差点で信号待ちをしていた。さて、これからどうするか。このままでは単なるストーカーだ。思い直し駅に引返すなら今の内だ。そうしたら二度と会うことはない。だからと言って、なす術もないのだが。
偶然街で転びそうな女の子を助けた。この大都会では、二度と繰り返されないエピソード。そんなシチュエーションに、自分をスクリーンの中の主人公に仕立て上げてしまったのかもしれない。そうこうしている内に、彼女は黄色い看板が目印の雑貨や、ロフトに入って行った。女服専門の店だったりしたら諦めるしかなかったが、これ幸いと店内に足を踏み入れた。