この時間がずっと続けばいいのに。真っ暗な虚空を見つめ、左肩の辺りに小さな吐息を感じながら思った。
「たっくん、来年も花火一緒に行こうね?」
「当たり前じゃん。来年はそうだな、クーラーボックスを用意して行こうか?」
「結局保冷バックだけじゃ、最後の方は効果なかったもんね」
懐かしむ様に笑っていた。
「ちょっと保冷バッグの量と、酒の量を間違えただけだよ。そういう失敗談も、来年にはいい思い出になるんだよ」
それもそうだね、そう言って頷いてくれた。
「じゃ、私からのリクエストは…。そうだ、来年は浴衣で行きたい。たっくんは甚平ね」
暗くても、その目が輝いているのが分かった。
「浴衣と甚平のカップル沢山いたもんね、分かった」
「じゃ約束ね?」
そう言って、右手の小指を差し出してきた。その指に左手の小指を絡め、小さな約束をした。