平安物語=短編集=【完】




「ほら、あなたの子です。

可愛らしい顔をしていらっしゃる…」

優しい顔で、父上が若宮を私に抱かせてくれました。


―あぁ…私の子…

「ありがとう…私の所へ来てくれて…」

気づいたらそんな言葉が漏れていて、涙が頬を伝っていました。

泣きながらせわしなく動かす小さな手を握ると、我が子も強く強く握ってくれました。


「女御様、若宮をお渡しください。

産湯などたくさんございますし、女御様はお休みください。」

若宮の乳母となる人が、心配そうに言いました。

とても人の良い女人です。


「頼みます。」

力の入らない体で、心をこめて言い、乳母殿に我が子を託しました。