平安物語=短編集=【完】




帝は

「え…」

と呟かれて、私の顔を覗き込みました。


「あなたが嫉妬だなんて、初めてのことではありませんか。

どうしたのです?」

驚いた表情のなかに、喜びが輝いていました。

私は黙ったまま微笑んで、顔を背けました。


―素直になるって、こんなに幸せなことなのね…


気位の高さで纏っていた鎧を脱ぎ捨てると、帝の優しさが身に沁みて感じられました。