しかし所詮どうしようも無かった。 一度も返事をもらえないまま、今日姫君は入内する。 弘徽殿女御となるのだ。 胸を掻き毟るほど辛いのに、政の世界に生きる私は姫君の行列に馬に乗って従ったのだった。 姫君の乗る牛車に視線を注ぐ余り、何度も列を乱しそうになった。 ここから、姫君を掻っ攫って行けたら良いのに。 私が、あの美しい女を幸せにしたい。 どうして… どうして私は何も出来ないのだろう。 結局、内裏まで送ってしまった。