目の前で、召使いの男が跪いている。 「…それで。」 「は、やはりお返事は差し上げられないと…。」 「そうか、もう良い。 下がれ。」 「はっ。」 また今日も駄目だった。 折につけて何度も手紙を差し上げるあの女(ヒト)から、また代筆すら返事をもらえなかった。 やはり無理なのか。 入内の決まった方への恋など…。