翌年、宮様の兄上の法皇(出家した上皇)は、六十歳で崩御あそばしました。 その御生涯はいかがなものであったのでしょうか。 この上なく高貴な御身でも、悩みや嘆きは尽きなかった事でしょう。 宮様は、実の兄上の死を悲しみながらも、出家の身でこの世を去る事が出来た事を羨んでおいででした。