それから、殿の行動に変化が出ました。
皇后様の御所に参上しても、夕方には帰って来るようになったのです。
「皇后様と二の宮を守る為でしょう…。」
そう呟かれた宮様の、物憂げな御表情。
あの殿が、人を守る事を考えるなんて…
私の目から見て、殿は宮様と二人の姫君に関しては利用するばかりでした。
東の対の御方への冷酷な扱いも忘れません。
それなのに。
「殿は、本当に皇后様を愛していらっしゃるようね。
愛しているが為に、男女の繋がりを絶っても構わない程に。」
そう仰って、一筋の涙を静かに流されました。
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