しかしその年突然、本当に突然、弘徽殿様が中宮に上られました。 麗景殿様は皇后になられ、二人の后が立たれたのです。 そして、中宮の一の御子が東宮に立たれました。 宮様はほっと溜息をつかれて、 「帝は本当に素晴らしい御方だわ。 きっと全て御存知なのね。 麗景殿様の裏切りも、全てお分かりになった上で許され、それでいて皇統をしっかりと守られた。 本当に賢明でいらっしゃる。 本当に…。」 と、しみじみと仰いました。